境界の話

(1)土地の境界

土地の境界は、次の3種類があるのをご存知でしょうか。

ア 筆界…登記された土地の範囲
イ 所有権界…現地で所有権の及ぶ土地の範囲
ウ 占有界…現地で使用している土地の範囲

本来の安定した土地の境界は、この3種類が一致している状態です。

ところが、大事な境界が不明になって、隣接する当事者間でその認識が違ったりすると、深刻な問題に発展します。

これが「境界問題」です。

(2)境界紛争

当事者が、話し合いによって「境界問題」を円満に解決することが理想です。

しかし、思うように対話が進まず、お互いの主張が対立することもあります。

これが「境界紛争」です。

(3)解決する制度

境界紛争を解決する制度は、公的な「裁判制度」「筆界特定制度」と民間の「裁判外紛争解決制度」があります。

紛争の様態、解決の方法、要する時間と費用などを考慮して、どの制度を利用することが適切か、よく検討する必要があります。

裁判制度

特徴
裁判所で境界の成否を判決する
長所
相手の都合に関係なく手続が進む
強制力あり
時効中断等の利用可
短所
公開する
しこりが残りやすい
資料収集の負担あり
時間、費用がかかる

筆界特定制度

特徴
法務局で筆界の位置を特定する
長所
相手の都合に関係なく手続が進む
専門的信頼あり
裁判より時間、費用がかからない場合が多い
短所
公示する
民事紛争は残る

裁判外紛争解決制度

特徴
民間機関で境界紛争の和解を話し合う
長所
非公開
(認証取得機関)時効中断等の適用可
しこりが残りにくい
裁判より時間、費用がかからない場合が多い
短所
相手の同意、協力が必要
強制力が無い